実際に扱った事例のご紹介

商標権や著作権に関する相談の事例

商標権侵害の仮処分を申し立てられた相談者が早期の和解を成立させられた事例

<相談内容>
相談者は数か月前に事業を立ち上げたばかりでしたが、相談者が使っている商標が登録商標を侵害しているとの警告状を受け取りました。相談者はその警告内容を深刻に受け止めずに2回の警告を無視していたところ、商標の使用差止を求める仮処分の申立書類を裁判所から受け取り、あわてて相談に来られました。

<対応内容>
申し立て内容を検討したところ、相談者の商標利用は申立人の登録商標権侵害と認められる可能性が高いと判断された一方、相談者がその商標を使い始めてまだ間もない時期だったところから、相談者に対しては、申立てを争うよりも未だ浸透していない相談者自身の商標を変える方が賢明だとアドバイスしました。相談者はこの方針に同意され、直ちに登録商標権侵害とならない別の商標の出願手続を取り、他方で、代理人として仮処分の申し立ての内容を争いつつ、新たな商標出願記録を証拠として裁判所に提出し、無用な紛争を避けて商標を変更することにしたので、その手続が終わるまでの商標利用を認めるよう求めたところ、裁判所での仮処分申立手続の第1回の審理日から和解交渉を始めることができ、その結果、損害賠償金の支払いを求められることもなく、相談者は2か月で紛争を和解により終結させることができました。

<弁護士からのアドバイス>
特許権や商標権などの特許庁への登録で権利が認められる産業財産権の侵害の警告を受けた時は、まずは権利侵害になるかどうかを確認し、権利侵害の疑いがある場合でもさらに権利自体の有効性を争うか、権利者と交渉してライセンス権を得るか、侵害を回避するため使っている技術や商標の使用をやめるか、といった戦略が考えられます。この事案では、相談者が早期に撤退戦略を決断されたことで無駄な法的紛争を回避し、短期的には出費がかさんだものの、中長期的には安定した事業運営を目指すことができました。

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