実際に扱った事例のご紹介

離婚や子どもに関する事例

離婚に瀕した夫婦間の子どもをめぐる争いの末、父親が子どもと引き離された事例

<相談内容>
相談者は40代の男性で小学生の子ども2人を持つ父親でした。相談者の意見によれば、父子関係は良好であったものの妻との折り合いが悪く、妻と子どもたちが住む家の近隣で1人暮らしをしながら、子どもたちと夕食は共にする生活をしていましたが、妻が離婚調停を申し立て、相談者と子どもたちが会うのを妨害し始めたことから相談に来られました。

<対応内容>
相談者の代理人として相談者とともに離婚調停に応じて親権や財産分与の協議を始めましたが、ほどなく妻から婚姻費用分担調停が申し立てられ、さらに妻は子どもたちとともに姿を消したため、相談者から子どもたちとの面会交流の実施を求める調停を申し立てました。調停手続はいずれの手続も話し合いがまとまらず、婚姻費用請求調停と面会交流申立調停はいずれも審判手続に移行して、婚姻費用の支払いを命じる審判と、月に1回の依頼者と子どもたちの面会交流を許さなければならないとする審判が出され、即時抗告審も経て確定しました。相談者は子どもたちに会えなければ婚姻費用は払わないと主張し、妻は子どもたちが父親に会いたがらないとの主張で、双方の主張が対立したまま離婚調停も離婚訴訟に移行しました。相談者は子どもたちとの面会交流の実現のために、確定した審判の履行勧告を経て間接強制の申立をして間接強制金の認定も受け、さらに慰謝料請求の裁判まで提起しましたが面会交流は実現せず、離婚訴訟で子どもたちの親権者を母親とする判決が出されるに至り、相談者は3年間の手続の後にすべてを諦めました。

<弁護士からのアドバイス>
最近は父親でも離婚に際して子どもの親権を得たいと考え、子どもと離れる場合も子どもとの面会交流の実現を求める方が増えています。ただ、子どもとの面会交流には子ども側の意向も無視できないため、子どもが会いたがらないとされると面会交流の実現は困難になる実態があります。養育費の支払いについては強制執行により確実な履行が担保されているのに、面会交流の実現には確実な履行が担保されず、子どもに会えないのに養育費だけ払わされるという事態がしばしば起きているのは、法制度上の不備ないし不均衡という印象がぬぐえません。

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